23時間移動し続けた9歳児はどうなるか(おまけにお父さん)
この旅程を、9歳児とお父さんの行動を軸に振り返ります。
Each LISTs
ローーーーング移動に対して出発前に日本ですることリスト
- いつも通りの生活を送る
急に早寝早起きなどしない - 胃腸の調子は整えておく
胃部膨満感がある場合はビオフェルミンの予防的投与を検討 - いつでもどこでも楽しめるミニゲームを数個考えておく
- コンパクトになる防寒・防熱対策用衣類を準備
ローーーーング移動中に心がけることリスト
- 食べ過ぎない、飲み過ぎない、体が欲するものを食べる
- 疲れた時は目を瞑る
- 寒い、暑いはこまめに調節
- 適度にストレッチ
ローーーーング移動後にすることリスト
- 到着後、興奮していても、まずはすぐ寝る
- 現地の時間に心身を合わせていくのは、次に目覚めてから
Explanation for each LISTs
ローーーーング移動に対して出発前に日本ですることリストの解説
早くから時差や体調を気にして取り掛かると逆に緊張するため、いつも通りに過ごすことを心がけて下さい。
長い移動になると、時差も1箇所だけではなく、何箇所かで異なってきます。
整える体調としては、胃腸だけでOKです。
胃部膨満感は乗り物酔いの原因にもなりますので、胃腸の調子は出発前から整えておいた方が良いです。
ビオフェルミンなどは、メーカー推奨ではないかもしれませんが、予防的投与が効きます。
これは、調子が悪くなってから服用するのではなく、あらかじめ服用を開始して悪くなることを防ぐものです。
水や油が心配な地域に行く前からビオフェルミンを飲んでおくと、旅行中を通して良い状態を保つことが出来ます。例えば、出発の日の朝から、など。
ミニゲームは道具がなくても楽しめる言葉遊びや小さい本のタイプを用意しておくと子どもが飽きずに楽しめます。
よくある、ピザって10回言って、というひっかけの言葉遊びなどは、家でやるより旅行中のテンションで行う方がウケます。現地の言葉っぽく「ピッツアー↑」とか言って、間違う方も「ヒッザァ」とか言っちゃうと10分くらい息が出来ないくらいウケます、子どもに。
衣類の調節は、体調管理の要ですので、脱ぎ着が楽でコンパクトに収納できるタイプを選びましょう。持ち運ぶ際に荷物になりにくいものが良いです。
かさばると手荷物検査などでいらいらします。重たいものもご法度です。
最近はダウンジャケットでもたためるものが多くあります。加えて、多種多様な機能性インナーを合わせればばっちりです。
ローーーーング移動中に心がけることリストの解説
水分は意識して摂るようにして下さい。
食べ物は自分が食べたいものを中心に摂る。移動が伸びるにつれ、体か欲するものがわかってきます。
どちらも摂り過ぎに気をつけましょう。
旅行中はここでしか食べられないかも、との思いから、無理して味わってしまうことがあります。大丈夫。また、どこかでもっと素敵なものに出会えるはず。
旅行をより良くするために無理だけはやめましょう。
疲れた時は横になって眠ることが一番ですが、それが出来ない時は、持ち物に気をつけて、目を瞑ることをお勧めします。
視界を遮断するだけで脳の休息となり、リラックス出来るのです。
ただでさえもの珍しい旅行中の風景。脳が常に興奮状態になっています。
目を瞑る、この簡単な動作を思い出し、実行して下さい。
衣類の調節は面倒でも行う方が、後々疲れません。
持ち運びが邪魔で調節衣類を諦めたりしてはいけません。上記のコンパクトに収納できるものを選び、こまめに快適な状態になるよう、着替えましょう。
汗をかいたり、寒かったりするとその後の体調に影響します。
着替えるついでにストレッチも忘れずに。
首、肩、腰、足、ほどよく伸ばして循環を良くしましょう。
スペースがあれば自衛隊体操もおすすめ。
ローーーーング移動後にすることリストの解説
長い移動の末にたどり着いた目的地。
興奮してあれもこれもしたくなるかもしれません。
しかし、興奮しているのは心だけです。
脳と体はくったくたに疲れているので、シャワーを浴びて歯磨きをしたら、寝ましょう。
このワクワクした気持ちを運んでくれた体を休めてあげるのです。
元気に見えても疲労によって判断力が落ちています。
うちの家族は、リゾートホテルの洗面所の排水栓の開け方すら思いつかず、わいわいなりました。「あれ?押したり引いたりするバーとかスイッチないで」と。
実際は、排水栓自体をプッシュして開閉するタイプでしたが、あやうくフロントに電話するところでした。
こんな簡単なことにすら気がつかない。
さっさと休んで、明日に備えるのが吉です。
到着時刻が日中であれ夕方であれ、横になって休みましょう。
ローーーーング移動により成長した自分が迎える明日はさらに素晴らしいものになっていることでしょう。
Our Personal Experiences
その日は、年末の真っ暗な早朝から始まりました。
吐く息が真っ白だなーと思いながら、最寄りの関空行きバス乗り場へスーツケースを押しながら歩いたのを覚えています。
我が家は京都と奈良の県境にあり、日頃は閑静なエリアとして過ごしやすいのですが、都市に比べると不便なことがいくつかあります。
その一つが早朝・深夜にタクシーがつかまらない。
うちからバス乗り場までは微妙な距離なのです。
地元のタクシー会社はその時間1〜2台は出せるようですが、早いもの勝ち、または運転手さんの都合次第なため、確約は難しい。
この時も、一月前くらいにお願いしたところ、難しいとお断りされました。
自家用車で関空まで行くことも考えましたが、場所の確保や駐車料金が懸念材料となり、空港バスになりました。
バス乗り場までは歩いて20分ほど。
始発便に乗るため起きたのは4時、家を出たのは5時00分。
ダウンジャケットを着込み、まだ星が見えている中を移動。
この時子どもはとても元気でした。これからの旅行にワクワクしていました。
関空到着後、年末の人の多さに驚きつつ、チェックイン。
乗り継ぎ時の荷物の取り扱いや渡されるチケットの多さに、いつもより時間がかかるなーと思いつつ、隣の子どもを見ると空を見つめ、唇が真紫に・・・。
バスの揺れと朝食の少なさ、人の多さにいきなりの体調不良。
旅行行けるか?!と不安になった彼を救ったのは、なんと<オレンジジュースとチキンカレー>でした。
体調不良にその組み合わせは無いやろ?と思いましたが、これっ!と自ら選んだオレンジジュースを飲み込んだ瞬間から顔色が輝き始めました。
続いてカレー。
中辛なんて食べたことがない彼がモリモリ食べて、一言。
「もうだいじょうぶ」
す、すっごいな、オレンジとカレー。水分、糖分、スパイス。
何がどう効いたのか、まったくわからないけど、秘めたるパワーが解放されたかのような状態に安堵と驚きを感じました。
お父さんは隣で朝ビールと朝カレー。
この光景をみて、なんとかなるんじゃないか、そんな気がしました。
まずは関空→北京。
昼間のフライトは気がラクです。
5時間くらいで着くしねー。
北京国際空港が近づいてきて、下をみると、明らかに人工芝より鮮やかな緑の地面が見えました。
とっても不安な緑色。なんなのだ、あれは。違和感しかない緑。
それら以外は、磨りガラスのような空と広大な原野風景が広がっている。
それが私の北京国際空港の印象。
12月末の北京国際空港はですね、とにかく寒かったです。
早朝からお世話になったダウンジャケットを再度取り出し着用しました。
ビジネスラウンジですら、吹き抜けのような作りのため壁がなく、空港建物の巨大なガラス窓からひしひしと冷気が伝わってくる。
ラウンジご飯もお口に合わず。
しゅんとなる私を尻目に、子どもは・・・巨大建造物に興味津々でした。
寒かろうが、窓側に行く。
飛行機も窓側、建物も窓側、外を見ることが使命、それが子ども。
続いて、空港内に作られた中国風庭園の池にかけられた橋をひたすら渡る。
橋があったら渡る、それが子ども。
掃除のおばちゃんがいたら道を譲り、その後ろから渡る、繰り返し繰り返し。
移動時間6時間程度では、疲れは全くないのね。
お父さんは寒いラウンジでもビール、加えて謎のおかずを数種類ゲット。
橋も一緒に渡って、体を温める良い運動になってました。
長ーい北京のトランジットを終え、続いてバンコクへ。
タイ国際航空の機内でちょっと退屈になってきた子ども。
映画を見て、スナック食べて・・・。
おっと、食事が運ばれてきました。
ミールカートの後ろには巾着袋を持ったスタッフ。投げてくるのは棒アイス。
チョコレートのかかったバニラアイス。カップではない。
ぽいぽい渡されるので受け取るしかない。
いや、今、ごはんもろたとこやねんけど、と焦りましたが、先に食べる気もないため適当に座席の前ポケットに突っ込んでおきました、息子の分も。
座席のポケットに突っ込まれた棒アイスを諦めの気持ちで見つめながら、ごはんをもぐもぐ。
しかし、これが驚くほどカッチカチだったらしく、食後も形状が変わっていない。
なんと、ほどよく食べごろの硬さに!
袋からスプーンで食べる覚悟をしていたので、驚くとともにめっちゃ嬉しくなりました。
お父さんは、食べごろやと思っててん、と嬉しそうにビールとともに食べていました。
この強制棒アイス投げ渡し→ほどよく溶けるという過程が面白かったようで、その後子どもは再び元気になり、食後はおかんとミニゲームをして残りは睡眠。
夜になり、バンコクに大幅に遅れて到着。
アイスが不自然に溶けなかったのは、きっとなんか次元の間に落ちていたのかも、だから、遅れたんや。
眠い頭でそんなことを考えつつも、とにかくプーケット便に乗るためにはかなり急がないと間に合わない。
子どもは2本めの7時間近いフライトを終え、同様に寝起きで足取りもふらふら。
家を出てから、すでに19時間ほど経過。
大人も子どもも疲れ始めたところで、猛ダッシュせざるを得ず、ああ、これは次のフライトできっとしんどくなるだろうと覚悟していました。
加えて、さらに悪いことに乗り継ぎカウンターをwestとeastで間違ったため、無駄に倍の距離を走り、絶望的な気持ちで沖留めの飛行機へ向かうバスへ乗り込みました。
大丈夫かな、顔色、どうかな、と子どもの顔を覗き込むと・・・・
キラッキラ☆している!
おおう、何がどうなってんだ。
「ねむーって思ってたけど、走ったら元気になった!」と。
タフです、子どもは、大人が思う以上にタフ。
水分と糖分を十分に与えて、時にワクワクどきどきさせると元気が復活する子ども。
同様にドキドキしたお父さんも、飛行機を予定通りに乗り継げそうでキラキラ笑顔。
あぁ、ときめきが人にエネルギーを与えるのね。
さて、超ディレイで出発したプーケット行き飛行機では、ちょっとした機内食が出ました。
冷えたほうれん草のキッシュとコールスロー。
ああー、野菜かー、子どものテンションだだ下がりやろなーとふたを開けつつ、隣を見ると、わっしわしコールスローをかき込む子どもが。
すーっぱいコールスローを食べる手が止まらない。
おおう、今、君の体が必要としているのは酸味なのか。
21時間前の君は、自分がこんなにすっぱいコールスローをここまで欲するとは、想像だにしなかっただろうな。
心身の疲れやダメージを本能的に修復していく子どもの凄さを目の当たりにし、私の体にもコールスローを!とほうばりましたが、
す、すっぱっ、と半分しか食べられませんでした。
お父さんはビールとキッシュを食べていました。
いよいよ最終地プーケットに到着です。
空港から出ると超蒸し蒸しの暑さで急激に体力を奪われそうになりました。
あ、子ども、トレーナー着たまま!長袖のままや!
お父さんもそうや、長袖!
しかも、バンコクで職員さんに貼られた、国内線に乗るけど荷物は国際線の方で受け取ってね!のシールを貼ったままや。だっせぇ。
慌てて脱がそうとしましたが、2人から言われたのは、
「おかあさん、撮って!やっと着いたから、タクシー来る前に!」
ゔぇぇぇーー?!
でも、リクエストどうりパシャっと撮ってあげました。
すっごいな、子どもと父さん。
私なんて暑過ぎて、税関通りながら脱衣してそんなに脱がなくて良いよと止められたのに。
その後、父子は半袖に着替え、ホテルへ。
家を出てから23時間。
美しい真夜中のリゾートホテルを前に夢のような気持ちになり、その日を終えました。
旅行における長い移動時間が、子どもの心身にどのような影響をもたらすのか、出発前は少し不安でした。
ただ、あかんかったらそこで立ち止まろう、というくらいの気持ちで進んでみたら、うまくいったわけで。
子どもも大人も、身体面の管理に加えて、心情面では怒りや拒否より、しゃあないなの気持ちと行先を想像するワクワクの気持ちを持つことで、心身ともに健やかな状態を保てるような気がします。
普段通りの行いへ近づける努力と物事への興味の持ち方が大切かと。
最後に、23時間移動し続けた9歳児はどうなるか(おまけにお父さん)の答え。
やり遂げた感でいっぱいになり、ものすごく満足な顔で眠ります。
お父さんは冷たいビールを飲んで眠ります。
翌日、経験値の上がった2人は、ちょっとむくんだ顔で新しいワクワクを探しに行きます。